もぐさは【バラ】なのか?

【散】ではない状態のもぐさを…。

それでは【散】ではない状態のもぐさは古来から何と呼んでいるのか?
それは、俵(ヒョウ) もぐさです。
【俵】という文字を見て皆様は何を頭の中で想像されますか?
様々な形が思い浮かぶかとは思いますが、一俵、二俵と文字を付け加えてみると如何でしょうか?
薄っすらですが米俵なんかが頭の中に浮かんできませんか。
もぐさ作りとお米作りでは言葉や道具などでリンクする部分が多く見受けられます。
江戸時代の農業特に稲作は江戸幕府の基幹産業であったため米作りの出来栄えに幕府財政が左右される程でした。
基幹産業に先進的な技術や知識また資本が大いに活かされる事実は現代でも江戸時代でも同じであり、その技術や知識を使えとばかりに他の産業延いてはもぐさ作りにも応用されたことは至極当然のように思われます。
もぐさの原料であるよもぎの多くを農家の方々が収穫されていたことも情報の共有を容易たらしめた要因であると考えます。
また、今のように段ボール箱が梱包材として普及していなかった時代にはもぐさの原料であるよもぎを梱包・貯蔵する材料として俵を利用していました。
新潟新井工場に納品されるよもぎは見事な俵型のよもぎ俵でした。
勿論、もぐさの梱包材としても俵を利用していましたし昭和50年代初め頃までは、弊社でも俵もぐさのご注文は藁を俵に作りもぐさを入れ国鉄の貨物便で輸送していた記録が残っています。
藁にもぐさを詰め俵型に仕上げる作業は熟練の技が伴うため年輩の腕の見せ処とばかりに職人さんが頑張っていたシーンが容易に想像できます。

俵

俵もぐさの目方

それではこの俵にどのくらいの量のもぐさを詰めていたのでしょうか?
現在、弊社の取引品目で最も容量が大きな商材は荒挽き温灸竹印20kgになります。
無論、段ボール箱で梱包し送品しています。
また俵を作っていた時代でも流石にこの容量をコモ詰めする事は有りません。
しかしながら案外近しい量を詰めていました。
と言うより、その容量に自ずとなってしまうと書いた方が的確です。
温灸用のもぐさですと4貫目ほど詰めていた模様です。
詰められるだけ詰める。経費の節減。
先方もその量のもぐさをこなす作業が可能な、唐箕を備えていたのだと推測されます。

台ばかり

尺貫法が禁止され、
現在では使用されることのない「台ばかり(看貫)」分銅の単位は貫目です。
埃を被った状態ですが、看貫にも今まで働いてきた誇りが認められます。

  1. (※注1)実際に米作り用の唐箕が開発され多くの農家で利用されたと推測される年代以降にもぐさの生産量が徐々に増大し凡そ100年後に木曽海街道六拾九次之内柏原の版画絵の中で歌川広重が亀屋もぐさの店頭風景を描いた事は非常に興味深い事柄です。
  2. (※注2)さらに需要の増大に供給が追い付き江戸や大坂という一大消費地に米俵の荷姿でもぐさが送られていたとしても何ら不思議はありません。
  3. (※注3)つい十年ほど前、愛媛県のとある山間の町に在る家の蔵からもぐさが俵にくるまれた状態で発見され、そのもぐさの年代を推察しに来て欲しいと依頼があり現場近くへ足を運んだことが思い出されます。

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