関西鍼灸大学灸道部

私たちは関西鍼灸大学の灸道部(お灸に興味を持った学生の集まり)の学生と、お灸の啓蒙活動をしている鍼灸師の集まり「やいとstation」のメンバーです。万博を通して、世界にお灸を発信できる事をとても光栄に思っています。今までにお灸を知らなかった国内の人はもとより、外国の人たちにもお灸の素晴らしさを発信できてこんなにうれしいことはないと今からワクワクしています。ぜひ、私たちのつくったパネルをご覧ください。また、ワークショップをお楽しみ下さい。
一灸入魂の精神で頑張りますのでよろしくお願いします。

パネルセッション 「なぜお灸は風邪に効くのか」

お灸の効果について、関西鍼灸大学で行われている研究の一部を紹介しています。
愛知万博・中部千年共生村会場内の展示パネルを公開いたします。

どうして風邪をひくのかな

からだは「異物」がはいってくるとからだの外へ追い出そうとします。「異物」とは自分ではないもの、つまりウィルス、花粉、ハウスダストなど体に入ると有害なもののことです。第一防衛軍を自然免疫、第二防衛軍を獲得免疫といいます。私たちのからだには、病気にならないための仕組みと病気と闘う仕組みが備わっています。

-更に詳しくどうして風邪をひくのかな.pdfへのリンク(99kb)-

お灸で風邪を予防しよう

  • お灸を続けていると風邪をひきにくくなるらしい

『お灸は風邪予防の効果がある』という実験データがあります。関西鍼灸大学の教員と学生71名を「お灸をするグループ」と「お灸をしないグループ」に分け、風邪をひかなかった人の数を比べてみました。

  • お灸は続けないと意味がないんだね

8週間のお灸をした後、1ヶ月間経過観察をしました。実験結果から、お灸を続けると風邪をひく人が少なくなることがわかりました。特に、若い人より30歳以上の人で「お灸をした人」と「しなかった人」の差が大きくなりました。年齢が上がると抵抗力は落ちていきます。お灸は下がった抵抗力を上げてくれる働きをするようですね。また、お灸は2ヶ月以上続けると明らかな効果があらわれてくることもわかりました。お灸は続けたほうがいいんだね。

-更に詳しくお灸で風邪を予防しよう.pdfへのリンク(27kb)-

なぜ、風邪ひきが減ったんだろう?

  • もぐさ成分とからだ防衛軍の関係

お灸を続けた人は風邪ひきが少なくなりました。どうしてでしょうか?
もぐさの有効成分は製油成分とタール成分にわけられます。タール成分の一つ、カフェタンニンを除去したもぐさ(CT(-)もぐさ)と、通常もぐさ(CT(+)もぐさ)を使って、ラットの足三里相当部位にお灸をし、リンパ節を取り出して、もぐさの有効成分がからだ防衛軍(白血球)に与える影響を調べました。

  • 免疫システムとからだ防衛軍

からだ防衛軍とは白血球のことです。白血球の働きのことを「免疫」といいます。免疫を担当する白血球がよく働くためには、サイトカインという物質が必要です。お灸を続けていると、サイトカインの生成または分泌が活発になります。この実験ではお灸を続けると、マクロファージやNK細胞など、第一防衛軍が良く働くようになったことと、第二防衛軍への連絡係ヘルパーT細胞の働きが良くなっていることがわかりました。お灸を続けると、初期段階の免疫応答の働きが良くなるから、風邪をひきにくいからだづくりに役立つんだね。

-更に詳しくなぜ、風邪ひきが減ったんだろう?.pdfへのリンク(100kb)-

お灸にもぐさを使うわけ

  • もぐさの成分

もぐさの有効成分はチネオール、ツヨンといった精油成分と様々なタール成分に分けられます。タール成分のうちメタノール分画中には皮膚脂肪質過酸化抑制作用(発ガンを抑制したり治療を早める作用)を認め、プロパノール分画中のカフェタンニンが示す抗酸化作用の有効性などもわかってきました。今回は、タール成分のうち、プロパノ-ル分画中について分析し、もぐさの示す色々な薬理作用と成分の関係について調べました。

  • やけどと灸痕のちがい

火傷と比較すると、灸痕は治癒しやすく、皮膚がんの報告がありません。もぐさに含まれるカフェタンニン成分が、皮膚の損傷を最小限にし、灸熱刺激を有益なものにしているのではないかと考えられています。

-更に詳しくくお灸にもぐさを使うわけ.pdf へのリンク(33kb)-

指導関西鍼灸大学:灸道部顧問五十嵐 純

ワークショップ 「もぐさをつくろう-Fire is good for your health!」
ご来場の皆様お一人お一人がヨモギからもぐさをつくり、自分でつくったもぐさに線香で火を付けてみようと思っています。さて上手にもぐさをつくれるでしょうか。ちゃんとお灸が出来るでしょうか。

協力やいとstation

2005/04/30
愛知万博中部千年共生村ワークショップ「千年の癒しやいと」にて開催された内容を基に編集しています。